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石鎚山登頂記(2007年8月7日)


 はじめに
 8月に入りいよいよ立山へのカウントダウンが始まりました。
 1年に及ぶ山トレの総仕上げとして、西日本最高峰の石鎚山(1982m)へ向かうことにしました。ここでは長距離移動、前泊まり、早起き、時間通りに下山を終えるなどの練習でもあります。
 石鎚山は修験道の山でもあるので、特に鎖場で鍛えられるかなとそういう軽い気持ちもありましたが、山の怖さを後ほど思い知らされることになります。。。
 伊予西条へ
 石鎚山への前線駅となるのは伊予西条駅です。ここから1日4本石鎚ロープウェー行きのバスが出ていますが、4本とは言えども山登りで使える時間は7:43発(8:37着)、10:23発(11:17着)の2本のみです。これを逃すと山頂往復は厳しくなると思います。
 僕は早起きが苦手ですので、宿泊代が節約され、かつ、強制的に起こされるフェリーを利用した方法を考えてみました。しかし、ジャンボフェリーだと昨夏の徳島横断失敗旅でわかったように非常に寝不足になる恐れもありましたので省きました。もうひとつとしてはオレンジフェリーを利用する方法が最有力だと思いましたが、結局、バスの時間に間に合わないということで断念しました。残されたのは青春18きっぷで向かうということ。仕事を終えてから夕方に四国に向かうことになりました。当然ながらこれは初めてのことです。
 16時すぎに明石を出発し、姫路駅、相生駅、岡山駅と乗り換え、マリンライナーにて四国へ渡り、坂出駅でさらに乗り換えて伊予西条駅に到着したのは21時。実に5時間もかかりました。それでも苦にも思わなかったです。今宵の宿は「ホテルさぬきや」駅から歩いて3分ほどの近い場所です。3150円でこの付近ではもっとも安かったので選びました。が、評価するならば・・・ちょっと厳しいかなと思います。でもまあすぐに寝ますから我慢です。。。
 翌朝、なかなか眠れなかったのが想定外でしたが、睡眠サイクルを調整してスッキリと起きれました。朝食は登山用に栄養も考えつつ、しっかり食べてから駅前のバスターミナルに向かいました。
ちょっと評価は厳しく
 いざ石鎚山へ
 駅前のバスターミナル。平日とは言えども夏休み。他にも登山者がいるかなと思ったら誰もいませんでした。むしろ誰もいないことで本当にバスが来るのか不安になったりもします。。。そしてバスは来まして、駅前から乗り込んだのは3人。ただし、他の2人は登山客ではないです。市街地を通り、国道11号線を経て、加茂川から南へ方針を変えると一気に山の景色になりました。道路も次第に細くなり、バスがすれすれの箇所も何度かありました。すぐそばが崖であるにもかかわらず、スピードもちょっとあったりでちょっとスリルあり、と。。。ほぼ予定通りにロープウェイ前にて下車です。運賃は970円です。
 次はロープウェイに乗って標高を稼ぎます。足で登るルートもあるんですけれども、あまり踏まれていないみたいでルートがわかるかどうかは不安だなと、空から見ててそう思いました。ちなみに登山客は僕だけでしたので、やはりロープウェイでも独り占めでした。。。
1280m地点まで8分の空中散歩です
 山頂成就駅に着くと入念な準備体操をしていよいよ登り始めます。ここの時点では晴れているのですが、石鎚山頂は雲に隠れてしまっていました。登っていくうちに雲に入り、風と少しの雨も降ってきたりと時々ガラリと変わる天気でした。
山頂成就駅に到着しまして登山開始です
(1280m、8:50)
最初は散策路といった感じでした
(9:00)
石鎚神社中宮成就社に到着です
(1400m、9:14)
その先からは登山道になります
(9:25)
頂上遥拝の鳥居を通過
(9:30)
八丁を通過
(9:35)
神社からずっと下りでしたが
この辺りから登りになります
(9:41)
残り2000m地点
(9:48)
いよいよ「試しの鎖」へ
(10:06)
 鎖場の恐怖
 まずは試しの鎖から始まります。ガイドブックを見ると何となく練習みたいな感じでコースから外れているし、名前からしてそんなものだろうと思ってとりあえず登ってみました。5mほど登ったところで、岩が濡れているのに気づきましてかなり滑りそうな感じがありますので断念しました。しかし、下山時に気づいたのですが、この試しの鎖の先はかなり危ないルートになっていました。「試し」という名でやってみたのですけれども、甘く見ないほうがよいかと思います。
まずは試しの鎖
(10:07)
途中から濡れていましたので断念しました
(10:12)
 巻き道を行きましたらすぐに標高1300m地点にある休憩小屋に到着しました。雰囲気からして茶店みたいな売店があるみたいなんですけれども、平日と言うこともあるのか閉まっていました。ちなみに休憩小屋の温度計は19℃を指していましたのでかなり涼しかったです。夜明峠を過ぎると木も無くなってきましたので、ここから石鎚山頂の眺めはいいのだろうと思いますけれども、この辺りから雲の中を行きますので全く見えません。。。
夜明峠
(1650m、10:35)
ここから雲の中に入っていきます。。。
(10:39)
 そして「1の鎖」に取り掛かります。長さは33m。ほぼ垂直ですので、高さも33mくらいでしょう。ちょっと怯みましたけれども、三点支持を守って何とか登りきりました。しばらく歩いていくと2の鎖前の鳥居に到着し、自衛隊員が続々と降りてきましたのでちょっと休憩しました。
まずは「1の鎖」
(10:46)
夜明峠からの稜線が真下に見えます
(10:52)
土小屋ルートとの分岐点でもある2の鎖鳥居
(11:00)
 2の鎖鳥居を行くとすぐそばに「2の鎖」があります。こちらは65m。ガイドブックによるとこの鎖場が一番怖いんだそうですが、勇気を出して挑みました。しかし、途中で足の筋肉がピリッと来たり、足場が無くなったりして若干立ち往生しました。でも引き返すことができませんので何度か休憩を挟みつつ登りきることが出来ました。しかし登りきった後の足はかなりピリピリとしていました。
2の鎖
(11:12)
休める場所もあったのが幸いでした
(11:23)
 続いては「3の鎖」になるわけですが、足が疲れきっているから危ないだろうと思い巻き道を行くつもりでした。しかし、頭に浮かんだのはここまでやってきて挑戦しないと何かもったいない、という言葉でした。悩みましたけれども1本だからと挑みました。しかし、68mの3の鎖は甘くありません。ほぼ1直線に鎖が伸びており休める場所もほとんどなく、あったとしても片足のみ足指くらいのスペースしかないのでちょっと滑らすと転落します。岩のでこぼこも無くて立ち往生する場所も何度かありまして、下を見るとこれから登ろうとしている人たちが不安そうに見守ってくれました。鎖場の原則として、鎖はあくまでも補助的なものであるので、できるだけ鎖をよじ登ってはいけません。しかし、3の鎖はよじ登らないといけない個所が非常に多かったです。でも、よじ登ると言うことは腕の力が必要ということで、腕の力さえ危なくなりつつある中では非常に不安でした。しかし、言うまでもなく引き返すことはできません。初めて最悪のケースが頭に過ぎりましたが、今ここで力尽きるわけにはいきませんので、家族や友達など色んな人の顔を思い浮かべつつクリアしました。3の鎖をクリアするとその場所が頂上です。
頂上が見えません・・・
(11:41)
3の鎖は甘くなかったです。。。
(11:53)
 山頂、そして下山へ
 石鎚山頂。正確には石鎚神社奥宮頂上社のある弥山(みせん)の標高は1974m。石鎚山の最高峰は天狗岳で1982mですが、今日は悪天候と言うこともあって頂上社側からは何も見えません。いずれにしろ西日本最高峰であることは間違いないです。岩山でもある天狗岳には登る事もできるのですが、こういう視界不良の中では非常に危険ですからさすがに行きませんでした。ここでは1時間の大休止を取りました。
 改めて山頂を見渡すとたくさんの登山者がいました。行きのバスに乗っていたのは僕1人でしたが、最短距離の土小屋ルートあるいは、車やタクシーでやってきた人が多いのだと思います。しかし、山頂の広場はあまり広いとはいえませんので混雑している時は座ることが出来るかはわかりませんが。。。山頂の温度計は20℃を指していました。でも風もありましたので、ほとんどの人が半袖ではなくて長袖やジャンパーなど何かを着込んでいました。
 頂上社でお守りと頂上山荘でピンバッジを購入して下山開始です
石鎚神社奥宮頂上社 弥山山頂は立ち入り禁止です 近くにある頂上山荘もぼんやりと
天狗岳の方面は真っ白 かすかに見えるその輪郭 頂上広場をちょっと外れると絶壁です。。。
ご利益ありそうなお守りです
 下山は鎖場を使わずに全て巻き道で降りていきました。鎖場のほうが近道に見えるのですけれども、実は巻き道の方でも短いので例えば3の鎖で10分かかったのがたったの2分でした。。。下りはほとんど休憩はしないで一気に下りていきました。
帰りは長い階段から
(13:19)
3の鎖分岐を通過
(13:21)
巻き道はこのようにしっかりとしています
(13:29)
2の鎖分岐を通過
(13:32)
夜明峠の稜線は良い感じです
(13:40)
1の鎖前を通過
(13:47)
休憩小屋を通過
(14:10)
成就まで1.1km地点
(14:36)
八丁を通過
(14:40)
途中で珍しい花を発見
(14:43)
遥拝鳥居を通過
(14:48)
無事に成就社にたどり着きました
(14:58)
 帰りのバスは17:22発、これに所要8分のロープウェーの時刻を合わせると17:00発が最後ですが、お土産を買っておきたいので1本早めの16:40にあわせます。それでも2時間近くの空き時間。。。神社で1時間近くボーっとしたりと時間を潰しました。
改めて成就社 結局山頂は1度も晴れず。。。 スキー場もあります
 帰りのロープウェーも独占かと思いきや10人ほど乗ってきました。やっぱりマイカー登山が多いんでしょうね、、、と思ったら、タクシーで来ていました。伊予西条駅まで7000円ほどらしく、割り勘にしたら安くなるとは思いますけれどもそれでもバスのほうが安いです。バスの時間に合うんだったらバスに乗った方がいいのにと思いつつ、バスに乗ったのは僕だけでした。運転手さんはどっかで見たなあと思ったら朝と同じ人でした。複雑な地形の道ですから、慣れた人が1日担当しているのかもしれません。でも、若干怖い運転でしたけれどね苦笑。ロープウェー前を17:22よりもちょっと遅めに出ましたけれども18:16よりも早く伊予西条駅に着いたことが証明しています。。。
石鎚山麓もひっそりと
 アフター
 その後は明石へ帰るのみです。石鎚山登山を考えた時、休みで晴れの日を狙っていくことになっていまして、その日のうちに帰らなければならないのでその時は特急と新幹線を乗り継いでしか帰れません。しかし、この日はたまたま連休になっていたのでゆっくり帰ることができます。それでも各停で帰ると岡山で終電を迎えますので、高松へ向かってジャンボフェリーの夜行便で帰ることにしました。
 その前に何も食べていないので駅で冷やしたらいうどんを2玉で食べました。さぬきうどんですからコシがありますが、冷やしたことによってさらにコシがつきましたのであごが疲れました笑。
 19:17の電車に乗って多度津で乗り換え、高松には22:22に到着しました。送迎バスまでまだまだ時間がありますので、港でボーっとしたりしていました。夜中であるにもかかわらず高松〜宇野のフェリーが頻繁に出航している様子を見ていると、瀬戸大橋の影響はほとんどないんだなあと思いました。
 送迎バスに乗り込んでジャンボフェリーへ。今夜は遅れているみたいで神戸20時発の便は、30分遅れで高松に到着したみたいです。当然ながら遅れて出航しましたけれども、神戸には4:10着ですからあまりにも早すぎますので遅れた方がいいです。船内のお風呂でさっぱりしようかと思いましたけれども、そう思いつつ疲れの方が強かったのでそのまま寝てしまいました。次に起きたのは須磨沖を航海しているところです。それでも3時間ほどで目が覚めたというのは、やっぱりフェリーでは寝付けないんだなあと思いつつ。。。
 早朝の三ノ宮センター街はダンスをしている若者がいました。シャッターは閉まったままですので昼間とは違う雰囲気が良かったです。そして明石に帰りましてはまだまだ時間が早いですので港に出てコーヒーを飲みつつ海を見ていました。今日も良い天気だなあと思っていると、オレンジホープが横切ってきましたので慌てて写真を撮りました。果たしてこのオレンジホープには乗ることがあるんでしょうか。。。
静かな高松駅前 幻のオレンジホープ 夏らしい雲とともに
 終わりに
 こうして立山への最後の練習場として、立山とともに1年前から設定していた石鎚山登山を終えることができました。石鎚山での教訓は「山を甘く見るな」でした。鎖場では初めて死の恐怖と向かい合ったほどでした。鎖場はロッククライミングなどそれなりの技術がある人だったらば、簡単に登れるとは思いますが、にわか素人が単独行で挑むととたんに難易度が非常に上がってしまいます。いつも大丈夫だろう、という気持ちで登っていましたが、失敗すると取り返しのつかないことになりますので甘く見てはいけないなと思いました。
 石鎚山頂は雲の中ではっきりと見れなかったのが残念ですが、また大きな山へ挑む時などの練習場として登りたいと思います。そしてその時は鎖場ではなくて巻き道経由で、、、

(2007年9月2日作成)






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