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立山縦走記(2007年9月5日)


 はじめに
 この1年の生活はこの立山のためにありました。山登りの体力や技術などは何もありませんでしたから、1年間六甲山を主舞台に練習しつつ、山に登れない時はランニングやストレッチで鍛えてきました。六甲山以外でも比叡山・金剛山、そして石鎚山と色んな山へ向かい、月2回は登山トレーニングも積みましたので少しずつ自信は確かなものとなりました。

 8月下旬に立山に向かうはずだったのですが、天気はなかなかよくならず延期に次ぐ延期で9月に入ってしまいます。9月1日時点で前後日を晴れに挟まれた曇りの日が5日で、両日が晴れだということは大崩れはしないだろうと予想して9月5日に向かうことにします。一方で台風が徐々に近づきつつあるので心配でしたが、スピードはノロノロとしていて登山当日は小笠原諸島で停滞ということで安心しました。

 できるだけ体力は温存したいということで夜行バスは利用せずに、前日に富山に乗り込んで前泊まりをすることにします。富山駅まではサンダーバードの往復利用をし、帰りは京都駅で降りて新幹線に乗り換えて西明石まで移動します。乗り継ぎ割引を利用すると特急料金の差はほとんどありません。終着駅の大阪駅まで乗っていた方がいいと思うのですが、大阪駅に降りてから在来線に乗り換えると荷物が重いですし、かなり疲れていますでしょうから新幹線で混雑する神戸地区を一気に抜くことにしたわけです。宿泊先は富山駅そばの東横インJr富山です。全ての準備を終えていよいよ立山登山です。
 1年ぶりの立山へ
 富山地方鉄道富山駅を出るのは5:44。ゆっくり朝食を済ませ、心を落ち着けてから出発しようと思ったら4時起きの予定にしました。しかし、前夜はなかなか眠れず、気がつけば2時だったりしてこれは完全な睡眠不足。。。いつの間にか寝てしまって、時計を見たら5時!!慌てて飛び起きて身支度を整えました。朝食は時間がありませんから当然ながら電車の中で食べることにします。前夜に念のために荷物を整理しておいたのが良かったです。

 富山地方鉄道に乗って立山駅へ。今日の天気はまだ雲が多いですけれども、崩れる可能性は低いと見まして苦手な炎天下登山を避けられてホッとしました。市街地を出ると田んぼが広がり、やがて山岳地帯へ風景が変わりますのでなかなか面白い路線だと思います。6:32に立山駅に到着してはアルペンルート用のきっぷと交換します。ケーブルカーの発車時間は7:00でまだ少しありましたので駅舎から出ました。立山駅はすでにさわやかな空気が広がっているのでおいしいです。ここまで来るともう都会の雰囲気は一切ありません。
去年とは車両が違っていました
市街地を出るとまもなく田園地帯 30分後にはスピードダウンで山へ 去年と違ってさわやかな朝の風景でした
 7:00発のケーブルカーにて美女平駅まで7分ですが500mも標高を上げます。去年は点検のために乗れなかったので、これでやっとアルペンルートの乗り物を全て乗ったことになれました。美女平駅は今年改築されたばかりなので非常にきれいになっていました。室堂までの高原バスの発車時間は7:40なので改札口で並んでは荷物を置いて軽く散策しました。他の乗客もみんな登山客みたいで観光客は2〜3人程度でした。やっぱり朝イチで向かうのは登山客で、観光客はもうちょっとしてから増えるのではと思います。

 美女平駅の隣には美女杉伝説の杉がどーんと立っています。散策とは言っても時間はありませんから、さわやかな空気を深呼吸して心を満たさせます。天気は少しずつ良くなっており、駅舎から下を見ると雲が広がりつつあるところでしたが、山頂方面はあんまり雲は見られずますます登山日和であると思いました。
2階建ての美女平駅 すぐ隣に美女杉 雲がいいアクセントを醸し出しています
 7:40に高原バスに乗り込み室堂ターミナルへ向かいます。補助席は使われなかったもののほぼ満席状態でした。立山駅7:20発のケーブルカーに乗ってきた人も発車時間に追いつくのですが、後続のバスとなってそのバスには弥陀ヶ原あるいは天狗平で途中下車する人も振り分けられます。立山駅7:00発のケーブルカーで来て室堂ターミナルまで行く人は、ノンストップで室堂に運ばれることになりました。発車時間は同じでも途中で停まるかどうかで若干の時間差が出ると思います。室堂ターミナルまで約1時間。雨天だった去年と違ってきれいな景色を楽しみつつ標高2450mまで運ばれます。
低公害の高原バス 滝見台の祠 気がつくと富山市街は雲海に
大日連山の並びに惚れ惚れしました 弥陀ヶ原ホテルは通過 高原道路はクネクネと
地獄谷から流れるソーメン滝 いよいよ立山が見えてきました 剱岳・・・勇ましすぎます。。。
 室堂ターミナルに到着するとヒンヤリとしていました。温度計を見ると14℃。富山市街の昨夜でも25℃でしたので半分近く下がったことになります。前回は硫黄臭が軽くしていたのですが今回は特にありませんでした。外に出てみると風が強かったので硫黄の臭いが漂わなかったのではと思います。半袖の格好ではさすがに寒いですので、長袖とさらに薄手のジャンパーという格好で挑むことにします。
 涙の雄山山頂へ
 出発前に玉殿の湧水を飲み、アミノバイタルとブドウ糖、ポカリスエットを口にしてエネルギーを補給しまして、入念の体操をしていよいよ立山登山に入ります。風は強いものの冷たい風というのではなくて涼しい風でしたし、あおられるくらいではありませんので特に気にはなりません。しばらくは石畳道が続き、室堂山荘前を通過しても石畳が続きます。ただし、きちんとした石畳ではなくてちょっとでこぼこなので、気を引き締めていかないとバランスを崩して足を挫きそうになります。特にザックの重さは10kgでちょっとバランスが悪いですから突風に気をつけました。
登山開始しました
(8:39)
室堂山荘との分岐点
(8:45)
 室堂山荘との分岐点より奥は完全に登山客のみになります。大型ザックを背負って重装備で挑む人もいれば、スポーツシューズにショルダーバッグだけで挑む人もいました。僕も去年は下手したら軽装備で登っていたかもしれませんのであまり大きくは言えないです。

 石畳道はずっと続いていきます。階段もほとんどなくて緩やかな登りですから、地図の標準時間と比べてもかなりハイペースで進みました。僕自身の感覚としては早いつもりはありませんので、恐らくは混雑時の標準時間を書いているのではと思います。

 やがて雪渓に当たりました。夏を過ぎて秋になってもまだ雪渓は登山道を埋めています。ガイドブックでは何本か雪渓に当たると書いていましたが今回は1本だけで、しかもさほど長くはありません。念のために軽アイゼンを持ってきていたのですが不要なくらいでした。雪渓に触ってみるとち雪解け頃の雪と同じ感じです。スプーンカットってこんな形なんだなあと思いつつ、危なげなく雪渓を越えました。
唯一の雪渓歩き
(9:00)
雪渓は広大でした
 雪渓を越えると階段の連続に入ります。連続とは言ってもゆるい登り道。特に疲れるということはなく、やはり標準時間よりも早く進み、気がつけば出発時間を10分遅れたのにもかかわらず、祓堂を10分早く通過したので20分もペースが速かったことになりました。祓堂を超えると一の越山荘は目と鼻の先なので、休憩はしないで一気に登りきると予定よりも20分早く短縮できました。
室堂方面を振り返ると雪渓が見えます
(9:04)
祓堂
(9:10)
一の越山荘に到着です
(9:20)
 一の越山荘は浄土山・立山・別山の「立山三山」を縦走する時には重宝される山小屋です。僕も最初は立山三山縦走にしようかと思ったのですが、初めての3000m縦走で何があるかわかりませんから立山だけにしました。またの機会にしたわけですけれども、せっかく山荘に来たのでから中に入ってみまして、スタンプを押してペナントが100円と安かったので買いました。

 一の越の先は黒部ダム方面の東一の越ですが、黒部平まで下りで2時間半かかるルートでは長いためにあまり歩く人はいないみたいです。一の越で稜線に出たわけですから、風が一番きつくなりました。休憩は15分で済ませて山頂の雄山神社までガレ場が続く道を行きます。
赤と青の2種類ありました スタンプも記念になります
 ガレ場は浮石が多くてちょっと足を乗せただけでも小さな石が動きそうでした。もちろん石を落とすと下の人に危険ですから、三点支持を守りながら慎重に登っていきます。ルート自体も1本だけではなく2本も3本もあったりした個所もありましたので、こちらも先を見てから選んで行きました。振り返ってみるとちょっと登っただけなのに一の越山荘ははるか下にあります。かなり急なはずなんですけれども、やっぱり楽しみながら登っていきましたのであっという間だったのかもしれません。でも急ですから休み休みで登っていきました。二の越の祠も過ぎるとまもなく三の越の広場に出ましたのでザックをおろして休憩します。
静かな東一の越方面
ガレ場を登っていきます ちょっと登っただけで一の越山荘が真下に・・・
急斜面に建つ二の越の祠(9:50) 室堂もかなり下に
 三の越は10時に到着しました。三の越から上は雲がかかっていましたので、この先はどうなっているのでわからないなと思いつつ、山頂を背にして座って水分補給をしたりしていました。目の前には浄土山が見えますが、風が強いので雲の動きも激しく見えたり見えなかったりします。ふと山頂方面を振り返ると雲が薄くなっていまして、すぐそこに雄山神社の社務所が見えました。すごく近くてもう少しで登頂だという気持ちを奮い立たせて10分後に発ちました。
広場に建っていた三の越の祠 浄土山は目の前に 社務所が近くに見えました
 社務所が見えればペース配分も調整しやすくなります。時々ルートを間違えて難易度が高そうな岩場を登ったり、やはり急なので少し休んで呼吸を整えてからまた登り始めたりの連続。そしてこの1年間の山トレを思い出しながら、また、この立山だけに時間とお金をかけたことを思うと少しずつ涙腺が緩んでいっていました。そして10時半に最後のひと登り。山頂の証である一等三角点を見た瞬間に涙が頬を伝わりました。サングラスをしていたので誰にも見られませんでしたけれども、夢をかなえて涙を流すというのはというのはこういうものだなと初めて知りました。
四の越の祠 一等三角点「立山」 この時はちょっと曇っていました
 雄山山頂にて
 一言で「立山」といいますが、立山という山は存在せず、雄山神社のある「雄山」(2991.6m)、最高峰の「大汝山」(3015m)、北端の「富士ノ折立」(2999m)を合わせて立山と言います。室堂ターミナルから登っていく人たちは観光登山では雄山、ピストンする人は大汝山、縦走していく人は富士ノ折立と目的に応じて立山をどこまで行くのか分かれているみたいです。

 さて、雄山では1時間の大休止です。一等三角点のある場所は2991.6mですが、峰本社のあるピークは3003mです。500円の登拝料を払うと鈴のついた紙製のお札がついてきました(写真左)。下山時にこのお守りをザックにぶら下げている人が多かったです。僕は社務所にて「登山安全守」(写真右)も買い求めました。どこの山とか神社にもありそうな「登山守」ですけれども意外とないんですよね。

 社務所ではお守りやピンバッジなども売っていました。売店もありまして、カップヌードルなど麺類が500円、コーヒーなど飲み物が400円です。巫女さんが1人で接客していたのですが、ちょっと混雑していたので神主さんも正装でお湯を入れているのを見てちょっと驚いたものです。何よりもストーブが焚かれていたのにも驚きましたが、やっぱり3000mですから寒いんでしょう。僕はここでハガキにスタンプを押しました。今回は11人。立山山頂郵便局の風景印が欲しいので僕自身用にも押しては12人分です。
 峰本社に登ると先ほどお湯を入れていた神主さんから30分間ほどお祓いを受けてもらいます。ただあまり広くはなくて混んでいるとちょっと待ちます、多くの人はザックは広場に置きっぱなしにしているのがちょっと驚きましたけれども、僕もゲート前にザックを置いてお祓いを受け、最後にお神酒をちょっと頂いて雄山山頂を踏みしめた喜びを新たにしました。晴れていると富士山が見えるそうですけれども、台風が接近している中ですから雲量が多くて見えませんでした。
ほんのわずかの間ですが晴れました(登拝票を合成しました)
小さな峰本社 そばにはこれまた小さな山頂標識
お祓いを済ませると再び雲に包まれました 3000mの地に咲いていたイワギキョウ
 十分すぎるほど雄山山頂を満喫しました。この後は大汝山、富士ノ折立を経て大走り経由で室堂ターミナルに向かいます。
 単独行と高山病を感じさせる縦走のち下山
 多くのガイドブックには雄山から先の縦走は本格的な山登りなので観光登山客は姿を消して静かになる、と書かれています。さてどうだろうかと冷え切った体に体操してから11時半に大汝山方面に向かいます。

 神社から先の縦走は確かに誰もいなくなったので雰囲気はガラリと変わったような気がします。富士ノ折立までの縦走はあまり高度差がないので、ちょっと下ってちょっと登るの繰り返しの簡単な縦走でした。28分後に大汝山の山頂にたどり着きます。大汝山の山頂は岩の上になっていて、登れることには登れるのですがちょっと高かったので写真を撮って後にしました。大汝山の下には大汝休憩所もあります。休憩所というからどんなんかなと思ったのですが、結構しっかりした建物でした。内部も見ておきたかったのですが、時間がちょっと遅れ気味だったので先を行きます。
誰もいなくなって静かな縦走路
大汝山の岩場 大汝山頂は岩の上に しっかりした建物の休憩所でした
 12:05に大汝山を出発してガレ場は続きます。10分後に富士ノ折立と縦走路の分岐点にたどり着きました。あまり目立たない富士ノ折立なんですけれども、曇っていてよくわかりませんでしたが石鎚山みたいに尖った岩の上に山頂がありそうな気がします。しかも急なガレ場になっていますのでちょっと危ないと思いましたのでここも写真を撮るだけにとどめておきました。この時から少し頭が痛いなと感じ始めるようになります。これが高山病なんだなと思いつつ。。。
目立たない富士ノ折立 室堂方面はスッキリと見えましたが雲海もすごいです
 富士ノ折立を過ぎると標高2860m地点にある大走り分岐点まで急坂を一気に下っていきます。一気に下るとは言ってもジグザグに降りていく形になっています。一の越からに比べたらマシなほうですが、道は1本しかないので状況に応じて使い分けていくことはできません。それでも慎重に降りていけば大丈夫です。

 富士ノ折立を過ぎると別山方面の山が見えてきます。そしてその先には「岩と雪の殿堂」と例えられる剱岳が見えてきましたが、山頂は雲にずっと覆われていて下りながら写真を撮るタイミングを見計らったのですけれども、結局、雲は晴れることなく別山に隠れてしまいました。
 急坂を降りきると束の間の稜線歩き。幅が1mくらいありますが、その先はふもとまで続く急な斜面になっています。踏み外す心配はないと思いますが、風がきつかったり視界不良であったらちょっと怖いかもしれません。雪渓がくっついている内蔵助(くらのすけ)カールを眺めつつ、大走り分岐点に12:51に到着しました。
なかなか晴れなかった剱岳
細かくジグザグに降りていきます 水平に歩く稜線歩きは爽快でした 富士ノ折立を頂上に内蔵助カール
 大走り分岐点は「分岐標識を見落とさないように」と本でもよく書かれています。写真でも小さく写っているように見えますのでここが一番注意しなければと思っていました。でも実際に行ってみるとストックよりも大きな標識でした。

 短い稜線歩きはここまで、ここから先は雷鳥沢キャンプ場に向かってさらに急坂が続きます。下りの急坂は特に注意しなければなりませんから、10分ほど休憩して向かいます。この時点での高山病は少しずつ進行して酒酔いみたいな感じが徐々にやってきました。縦走先の真砂岳も往復20分で行ける距離にあるのですが、すでに行きたいと思うような考えはなく、早いところスッキリしたいという気持ちの方が強かったです。今思えば苦しさを紛らわすために無意識に何度も写真を撮っていたような気がします。
大走り分岐点の標識 標識は意外と大きかったです 縦走路を振り返ると立山は晴れていました
 大走りルートは雷鳥沢まで2.5kmの急坂。標準時間で下山が80分かかるのに対し、登りでは150分かかることや、残雪時にはピッケルが必要でもあり、整備不良の道ということから、いかにこの大走りルートは最後の最後まで不安の種になっていたかはわかると思います。それに加えて人が少ない中での単独行と終わりなくジワジワと進行してくる高山病。今まで一番過酷な下山路でした。高山病対策は酸素・水分・体力ですけれども、下界と比べて4分の3しかない地域では、酸素を補給したくてもできません。水分は何度かの休憩ごとに補給していたので大丈夫だと思いますが、残る体力はやはり寝不足であったことが隠れた原因であったのかもしれません。当初は予定時間よりも早く縦走できていましたので、もうちょっと先の別山を縦走できるかも、と思っていたくらいですが体は正直でした。高山病に苦しめられたら一刻も早く標高を下げていくことですが、なかなか好転せずに酒酔いみたいな状態から吐き気に近いような感じにもなりつつありました。

 大走りルートの下山路は富士ノ折立の時と同じようにジグザグの繰り返しに足が不安定なために何度か落石するくらいの道でした。慎重に降りて行っても足裏や膝にかかる負担はかなりきついもので、下山時でも何度か休憩するくらいでした。順調に下山は続けていくものの、空を見ると雲の色が次第に白から黒の変わってきているのがわかりました。これは雨が近いぞと思いまして、早めに下山を終えて雷鳥沢の平地まで行かなければ危ないと思いました。別山の急峻な崖と雪渓を右手に見ながら、14:14に雷鳥沢の平地に到着してホッとしました。
大走りは見下げるような急坂 そして浮石が多いガレ場 分岐点では白かった別山の雲も
やがて黒くなりました ふと振り返ると雲が迫ってきました 雷鳥沢にたどり着いて急坂は終わりです
 雷鳥沢に到着してもゴールはまだまだ先です。予定時間よりも早く進めましたので、雷鳥荘で温泉に入るつもりでした。ところが雨がポツリポツリと・・・まだこの程度だったら大丈夫だろうと思っていましたので歩き続けていきましたが、やがて雨は強くなってきて、レインウェアを着なければならないほどの強さになってきます。まずは傘ではなくいきなりレインウェアが必要な強さなので、慌ててザックからレインウェアを取り出し、ザックにもカバーをかけて濡れるのを防ぎました。この時点でかなり時間をロスします。しかし何よりも雨中登山のトレーニングができなかったので、どのような影響があるのか全くわからなかったです。予想はしていましたけれども、レインウェアは体を濡れるのは防いでくれましたけれども、ズボンから滴り落ちる雨が靴の履き口から浸水してきます。それを防ぐためにスパッツという用具があるんですけれども、準備した方がいいかなと思いつつ怠ってしまいました。

 このために時間はかなりロスしまして、気持ち的にも余裕がなくなったのでここまで頻繁に撮り続けた写真も途切れ、浄土沢の木橋や雷鳥沢キャンプ場を撮るのを忘れていたほどです。この後、温泉に入ったとしてもレインウェアを着た以上は着脱に時間がかかりますし、スッキリしないだろうと思ったのでそのままゴールの室堂ターミナルまで行くことにします。

 雷鳥沢にたどり着いてホッとしたのは不安定なガレ場から脱出できたことです。しかし、室堂ターミナルへは再び標高差180mの登りが待っています。平地歩きもあってずっと階段ではありませんが、雄山の時とは違う条件に苦しめられます。高山病も体力も雨もピークに達しまして、これに地獄谷から漂ってやってくる硫黄臭が呼吸を一層困難なものにさせていきます。階段も一度登ると長く、そして急でもあるのでちょっと登っては休憩する連続でした。

 14:50の雷鳥荘手前で急な階段は終わります。温泉に入れなかったのは残念ですけれども、気がつくと時間も迫ってきていますのでなおさらやむ得なかったです。15:10にみくりが池温泉で呼吸を整えてから、室堂ターミナルまで最後の力を振り絞って15:30にゴールしました。みくりが池温泉から室堂ターミナルまで標準時間で10分かかるところを20分でしたから、本当に苦しい最後のトレッキングでした。到着して最初に出た言葉が「苦しかった」と、また涙を流すわけですけれども、これが苦しかったことからなのか、完走した嬉しさからなのか、これで終わった寂しさからなのかはわかりません。ただ、充実感があったのは確かです。朝と同じく玉殿の湧水を口にし、しばらく立山を眺めて心を満たし、一礼してから建物内に入りました。
次に写真を撮っていたのは雷鳥荘手前でした
雷鳥荘をバックにリンドウ池 血の池 地獄谷は視界良好でした
雲に覆われた立山を背景にみくりが池 日本最高所の温泉「みくりが池温泉」 ありがとう立山
 アフター
 レインウェアを着たことで雨に濡れることや体が冷えることはありませんでした。でも、服が汗で濡れていましたので着替えます。本当は温泉に入った後の着替えだったのですが、これに着替えると完全に登山着からジーンズ姿の普段着に変わりました。傍から見ると街歩きの格好に重いザックを背負う姿はアンバランスに見えると思います。

 着替えが済むとホテル立山にある喫茶店「ティーラウンジりんどう」へ。ここでは玉殿の湧水を使った水出しコーヒーが有名です。これを注文しまして、筆記用具とハガキを取り出しました。1時間後に最終バスの時間が迫っているので20分ほどしかのんびりできません。なので一言を書こうと思ってもそんなに時間がありませんから、本当に一言だけになってしまいました。しかも全員共通で。。。水出しコーヒーはおいしいと言えばおいしいと思いますが、普段よく行っているチェーン店は水出しコーヒーなので細かい差はちょっとわからなかったです。でも何よりもまだ気持ち悪い状態が続いていたのも理由があったかと。。。コーヒーについてきたお菓子の袋はパンパンに膨らんでいました。気圧が高いふもとで密閉された袋は、気圧の低い山に持っていくと膨らむので当然のことですがちょっと面白い現象ですね。僕の行動食はタッパーに入れていたのですが、きちんと閉めたはずなのに閉まらなくなったので変に思っていたらカロリーメイトが膨らんでいました笑。ためしにこのままふもとに持っていくとどうなるんだろう、と確かめたら元に戻っていました。ちなみに去年に長野県側入り口である扇沢駅で「黒部の氷筍水」のペットボトルを買ってそのまま現在に至るのですが、側面が少しだけ凹んだままになっています。何か面白いのがもったいなくてそのまま飲めないままです。。。

 喫茶店を出たら次はお土産。でも考える余裕もなくジッとしていたいので一番人気で定番でもある「星の雫」にて簡単に済ませて改札口に一番で並びます。一番前に並んだら一番最初にバスに乗れるから最前列を確保できると思っていました。しかし、いざ改札が始まると途中で降りる人が優先でした。。。なので一番後ろの席へ・・・行きと違って帰りの乗客はかなり少なく15人ほどでした。一番後ろの席に座っても隣には誰もいませんから独占ということで気持ちいいです笑。17:00に最終バスは発車しました。立山はすでに雲に覆われて姿は見えませんでしたけれども、1年間の生き方を導いてくれましたからきっと忘れられないですしまた来ます。高度は少しずつ下げていき、雲海に入っていくと雨の世界でした。17:50に美女平駅に到着して18:00発ケーブルカーに乗り換えて18:07に立山駅に到着。お土産を見る時間はなく18:10発の富山地方鉄道にてアルペンルートを後にしました。

 明石まではまずは19:51発のサンダーバード50号にて。京都駅まで約3時間の乗車となるのですが最後列と隣には誰もいないので気兼ねなく過ごせました。京都駅に到着して足を踏み入れたその最初の一言が「蒸し暑い。。。」が立山そして富山がいかに涼しい場所であったのを象徴していると思います。なお高山病は富山駅についてもごくわずかながらしばらく続いていまして、富山駅を離れてからやっとスッキリできました。高山病は思ったよりもしんどいし、キリがないので非常に大変でした。

 翌日から筋肉痛が5日間ほど続きました。事前にもトレーニングをきちんとしていたのにもかかわらず筋肉痛になったというのは、いかにも立山縦走が大変であったこと、そして特に手が痛いというのは、大走りでのストックが役に立ったというのを筋肉が無言で教えてくれました。
水出しコーヒー(850円) さようなら立山 結局雲海は1日中続きました
雲海に入ると雨でした 乗客は少なかったです 最後にケーブルカー
 夢を抱く時人は輝く
 こうして立山への1年の挑戦が終わりました。1年の時間とお金を山に費やし、自分自身のためにだけの山登りですから、理解がない人からすると1年を無駄にしたと思われると思います。実際に僕自身がこれからの社会に対して役立つようなことは一切ありません。ただ、立山に登りたかった、それだけの思いで1年を過ごしてきたわけです。でも無計画で1年を過ごすよりも何かの目標を立て、その目標完遂に向かって努力し続けることが大事だと思いますし、役に立たなくても自分自身にとって糧になることはあると思います。

 この1年間、僕を支えてくれた言葉がハガキの一言にも書きましたが植村直巳さんの「夢を抱く時。人は輝く」でした。また、事の大小にかかわらず自分自身で出来る最大限のことをやることが大事だとも述べています。つまり誰もが知っていて日本一高い富士山に登頂することが一番偉いとは言わず、どんなに低い山で無名であってもそれが今の自分でできる一番のことであれば素晴らしいことだということでしょう。わかりやすく例えると今回の立山登山で剱岳を見たのですが標高は2999mで雄山よりも4m低い山です。しかし、難易度は誰もが剱岳のほうが難しいと言うでしょう。世界一高いエベレストだって難易度では第2位のK2の方が難しいそうです。もちろん標高が高ければいいというわけでもなく、技術が難しいから登りきった方が偉いというのも違います。大切なのはその人にとってどれだけ心をかけてきたのかだと思います。立山縦走は立山三山縦走よりも短いですから、この程度で涙するなんて大げさだと笑う人もいるかもしれません。でも、僕は現時点では最大限の力を出し切りましたので非常に満足ですし誇りに思っています。

 人の評価は他人によって下されるものではなく、本来は自分自身が納得して作り上げていくものだと思います。地位や名誉、体裁は気にしないで、いかなるときも自然に合わせて自分らしく生きていくのが一番だと、永平寺の宮崎奕保(えきほ)禅師のお言葉にも通ずるかと思います。

 今回の立山は色んな経験をさせていただきました。現時点では次の目標は全く決まっていませんが、どんな目標であってもいい、そして一度目標を決めたら失敗成功は関係なく一途に打ち込みたいと思います。

(2007年9月16日作成)






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