はじめに |
乗車券とは、普通のきっぷだと思っていただいてもいいでしょう。乗車券の種類はさらに、「片道乗車券」、「往復乗車券」、「連続乗車券」、「定期乗車券」、「回数乗車券」、「団体乗車券」、「貸切乗車券」の7種類に細かく分かれます。自動券売機できっぷを購入すると、ほとんどの場合は片道乗車券です。 乗車券の金額の決め方は、距離に応じて決められます。少し難しくなりますが、JR6社の場合は幹線と地方交通線に分かれ、幹線は営業を続ける上で何も問題はなくとも稼げる線路ですが、地方交通線はいわゆる赤字路線で経営が苦しくなるために、同距離の幹線よりも1割り増しで運賃を値上げしている路線です。地方交通線はどこかというと、本の時刻表など(以下、時刻表と略します)で路線が青で引かれている線路です。 |
○○キロとは |
時刻表を見ていて気づく方もいるかもしれませんが、距離の長さの名前に「営業キロ」「換算キロ」「擬制キロ」「運賃計算キロ」と書かれているのを見たことありませんか?これらは、運賃を求める上で必要な距離を計算するために重要な意味があります。 「営業キロ」とは、JR6社の幹線のみ、または、本州3社とJR北海道の地方交通線のみを利用する場合に、特に手を加える必要はなく、発車駅と目的駅の距離を求めて、その距離を時刻表にある幹線用の運賃表で確かめるだけがわかる方法です。 「換算キロ」とは、本州3社及び、JR北海道の幹線と、地方交通線を連続して乗車する場合に、地方交通線の部分のキロ数です。幹線の部分は「営業キロ」(これをAとします)を地方交通線の部分は「換算キロ」(これをBとします)を求め、A+Bの距離をの運賃表で求める方法です。要するに換算キロは、営業キロの1割増しの距離です。1割増すことによって、営業キロと等しい運賃を求めることができるというわけです。また、A+Bの結果、出てきたキロ数を「運賃計算キロ」と呼びます。 「擬制キロ」とは、JR四国及び、JR九州にて地方交通線のみに利用されます。実質的な意味は「運賃計算キロ」と同じです。 なお、東京と大阪の特定区間は幹線ですが、幹線よりもやや安い運賃に設定されています。 また、乗車券だけではなく、特急券など、全てにおいて適用されますが、キロ数を求める際には、12.3キロなどの小数点以下の端数が出てきますが、全て1キロ切り上げてください。つまり、この場合は13キロになります。 わかりにくいと思いますので、時刻表を見てみて実際に計算してみましょう 1、 大阪駅から岡山駅までの乗車券。 大阪から岡山まで全て幹線で、営業キロは176.5キロ。小数点の端数は切り上げて177キロになります。ここで、JR3社内の幹線用普通運賃表を見て、177キロに当たる範囲を見ます。すると、177キロは「161〜180」の範囲内ですので、運賃は2940円となります。 2、 福知山駅から小浜線経由で敦賀駅まで。 幹線は福知山駅から綾部駅までで、綾部駅から敦賀駅まで地方交通線になっています。ですから、綾部駅から敦賀駅までの地方交通線の距離を「換算キロ」で求め、福知山〜綾部の「営業キロ」を足します。時刻表を見てみると、福知山〜綾部は12.3キロ。綾部〜敦賀は換算キロで121.7キロと書かれていると思いますので、12.3+121.7=134キロとなります。これを、幹線用普通運賃表で見てみると「121〜140」の範囲となり、運賃は2210円となります。なお、綾部駅〜敦賀駅の全区間地方交通線を利用の場合は、換算キロではなく、営業キロを利用し、本州3社内の地方交通線用の普通運賃表を利用します。従って、綾部〜敦賀は110.7営業キロで、小数点を切り上げて111営業キロ。これを地方交通線普通運賃表を見てみると「111〜128」の範囲になりますので2210円となります。小数点以下の端数は、たとえ0.1キロであっても1キロとなりますので、わずか700メートルの差で320円も取られるわけです。 3、 大阪駅から京都駅まで 大阪から京都駅までは大阪の電車特定区間にあたります。大阪駅から京都駅までの営業キロは42.8キロ。小数点以下を切り上げて43キロになります。これを時刻表で電車特定区間の普通運賃表を見てみると「41〜45」の範囲となり、690円となります。幹線の普通運賃表を見てみると740円ですので50円安いことになります。なお、電車特定区間を利用する場合でも、特定運賃が適用されるのは、特定区間のみを利用する場合だけで、1駅でも外れた場合は、幹線用の普通運賃表を利用することになります。大阪環状線や山手線はさらに安くなっていますが、これも大阪環状線や山手線のみを利用する場合に限ります。 |
JRの他社間をまたがる場合 |
前回で述べたのは本州3社内のみやJR九州内、四国内、北海道内のみの運賃の求め方です。実際には、JR西日本内から瀬戸大橋を渡って、JR四国内へ、JR東日本から青函トンネルを通ってJR北海道内へ、JR西日本内から関門海峡トンネルを通ってJR九州内へと旅行する人も多いです。しかし、本州3社以外のJR各社は赤字が多く、やむを得ず運賃計算表もやや割高となっていますので、運賃計算を平等にするために、本州3社と他3社をまたがって利用する場合は、会社間の境界駅から距離に応じて「加算」されます。本州3社間のみでは、幹線も地方交通線も共通した運賃表を利用しますので、会社間の境界駅はあるものの、運賃計算においての加算は必要ありません。 この場合の運賃の求め方は会社間にまたがっての全区間の「営業キロ」あるいは「運賃計算キロ」や「擬制キロ」をまず求めます。求めたら次に、本州3社から来た人は境界駅から目的地まで何キロ移動するか求めます。そのキロ数を時刻表の加算額表で求め、全区間の営業キロ数に加算します。また、本州3社に向かう人も、出発駅から境界駅までのキロ数を求め、加算します。 ちなみに境界駅に当てはまる駅とは、JR北海道とJR東日本の「中小国駅」、JR四国とJR西日本の「児島駅」、JR西日本とJR九州の「下関駅」です。特殊な例として、山陽新幹線は全線JR西日本ですが、JR九州内も走っています。ですから、運賃を求める上で山陽新幹線と在来線を乗り継ぐ場合には「博多駅」と「小倉駅」も境界駅となっています。 また、「加算」という意味では、瀬戸大橋線(児島〜宇多津)、宮崎空港線(宮崎空港線田吉〜宮崎空港)、千歳線(南千歳〜新千歳空港)、関西空港線(日根野〜関西空港)利用する場合には、それぞれの加算運賃が必要となります。従って、「営業・運賃計算キロ(+境界駅からの加算)」+「各線の加算」が適用されることになります。 ここでも計算してみましょう。 1、 岡山駅(JR西日本)から高松駅(JR四国) 岡山駅から高松駅は全て幹線です。ですから、岡山〜高松を営業キロで求めます。時刻表を見てみると営業キロは71.8キロです。端数を切り上げて72キロ、これをAとします。次は境界駅である児島駅から高松駅のキロ数を求めます。調べてみると44キロです。これをBとします。それではAの運賃額を本州3社用の普通運賃表で確かめて見ましょう。72キロは「71〜80」の範囲内にありますので、1280円になります。Bにおいて加算額を調べてみますと190円になります。但し書きに、190円の中に、瀬戸大橋線を利用したとして100円を加算してあるとの内容が書いています。従いまして、1280円+190円=1470円が岡山駅〜高松駅の普通運賃となります。 2、 京都駅から関西空港駅 京都駅から関西空港駅は幹線です。営業キロは99.5キロ。端数を切り上げて100キロとなります。これを本州3社用の普通運賃計算表で見てみると「91〜100」の範囲で運賃は1620円となります。これに関西空港線の加算額210円を加えて1620円+210円で1830円が運賃となります。 |
行程の間に第3セクター線を挟む場合 |
以上で、運賃計算の基本的な求め方を説明しました。他にも間に第3セクター線を挟んで改札から出ずに通過する場合は、前後を通して計算します。例えば、東京〜札幌の寝台特急「北斗星」は間に2つの第3セクター鉄道を通過しますが、運賃を求める際には東京〜盛岡+八戸〜札幌=全体の運賃を求めます。もちろん、第3セクター線の運賃は別途必要です。 実際には、運賃計算においては特に東京、大阪を通過する場合などで特例な求め方もありますので、もっと複雑になってきます。けれども、ほとんどの場合は上記の求め方ができます。 |