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障害者割引について

 はじめに
 障害者割引とは、「身体障害者手帳」「療育手帳(知的障害者)」の交付を受けた障害者に適用される割引制度です。

 精神障害者に関しては、自治体ごとには適用される割引はありますが、全国的な統一は残念ながらないようですので勝手ながらここでは述べないことにします。なお、精神障害者に交付される手帳は「障害者手帳」となりますが、以下で「身体障害者手帳」「療育手帳」を省略して述べる「障害者手帳」とは便宜上、同一ではありません。

 障害者割引が適用されるには、事前に交付を受け、そして常時携帯しておく義務があります。従いまして、障害者であるとは言っても手帳の交付を受けていなかったり、係員からの手帳の提出請求があったときに所持していないと障害者割引が受けられなかったり、きっぷなどの発売をしてくれないときもありますし、すでに乗車時だと正規の運賃に基づいて割り増し請求される恐れもあります。ですから、障害者割引を利用する場合は常に携帯しておくようにしておきましょう。
 障害者割引の基本的な適用
 障害者割引は「電車」「バス」「飛行機」「船舶」「タクシー」のほとんどにおいて適用されています。以下のようにまとめましたので参考にしてください。ここで注意をしますが、一般的な割引をあげていますが、中には適用されないときもありますので、詳しくは事業者に直接問い合わせていただきますようお願いします。

 また、「身体障害者手帳」や「療育手帳」を利用しての割引である以上、厚生労働省や地方自治体での通知などによって当該事業者はそれに従っているということになり、通知によって定められていないことを事業者は割り引く義務がありませんのでご注意ください。

注1)
 旅行会社にて事前にきっぷを購入する場合も手帳を提示する必要があります。
 旅行会社は手帳に書かれている番号をきっぷに記入する場合があります。

注2)
 割り引いた際の金額が1桁の端数(5円)はJRの場合は切り捨て(→0円)、その他の交通機関は10円に繰り上げます。
 鉄道会社の場合
基本ルール・・・

 身体障害者手帳及び、療育手帳(以下このページでは、手帳と略)において旅客鉄道株式会社料金運賃減額欄に「第1種」と書かれている場合は、本人および介護者が同じ旅程で行動する場合は乗車距離にかかわらず「乗車券(運賃)」は5割引のみとなり、特急券や寝台券など「料金」は介護人同伴でも割り引かれません。ただし、急行券のみは割り引かれます。
 つまり寝台特急に乗車する際は乗車券のみが5割引になるのであって、特急券と寝台券は割り引かれません。

 「第2種」と書かれている障害者本人のみ、あるいは「第1種」の障害者が単独で乗車する場合は、営業キロ数で101キロ以上の乗車の場合に限って運賃のみ5割引となります。ただし急行券は割り引かれません。料金は割り引かれません。

 上記の内容は、JRと私鉄とで共通します。
 ただし、現実には私鉄で101キロを越える路線を所有している会社は近畿日本鉄道などごくわずかに限られます。

 いずれの割引は、学生割引や往復割引などの各種割引と重複して割り引かれません
 また、各種の格安チケットの障害者割引はありません。あくまでも、通常の運賃を基準に5割引となります。

 乗車券を購入する際は、必ず手帳を所持し、窓口係員に手帳を提示の上で目的駅等を口頭あるいは筆談で申し込みます。なお、基本的に「みどりの窓口」など係員から直接発券してもらいますが、窓口が閉まっているなどやむをえない場合は、自動券売機で「小児」きっぷを購入することで代用できますが、近畿圏のJR自動改札口では入出場の際に「キンコーン」と音が鳴ります。また、一部私鉄では車椅子のデザインなど障害者割引用のボタンがありますが、ルール違反の場合は仮に購入できてもゲートが閉まる場合も多いですからルールは必ず守ってください。


例外ルール・・・

 地下鉄など公営の鉄道会社の場合は、距離にかかわらず半額(実質小児運賃を適用)となります。この制度は全国の地下鉄や路面電車にて適用されています。なお、入出場の際は「手帳」の提示が必要です。

 JRが線路を手放し、自治体と民間が出資して新しい鉄道会社となったなど第3セクター鉄道については、基本的には前述のルールに準じますが、一部の第3セクター鉄道では距離にかかわらず5割引となっている場合があります。
第1種 第2種
単独旅行 介護人とともに旅行 単独旅行 介護人とともに旅行
本人 介護者 本人 介護者
普通乗車券 5割引
(101キロ以上)
5割引 5割引 5割引
(101キロ以上)
なし なし
定期券 なし 5割引 5割引
(通勤定期のみ)
なし なし 本人が12歳未満で5割引
(通勤定期のみ)
回数券 なし 5割引 5割引 なし なし なし
急行券 なし 5割引 5割引 なし なし なし
新幹線特急券・特急券・指定席券・グリーン席券・寝台券・企画券は
「第1種」「第2種」や介護人同伴・単独乗車にかかわらず割り引かれません
 なお例外でもなく障害者割引でもなく正規ルールとして、新幹線から特急へ乗り継ぐ当日あるいは特急から新幹線へ乗り継ぐ当日及び翌日の場合は指定席特急料金・自由席特急料金が半額になります。(乗り継ぎ割り引き制度)
 この場合、新幹線特急券やグリーン席料金は割り引かれません。特急のグリーン席を利用した場合は、割り引かれた自由席特急料金に乗車距離に応じたグリーン席券が必要です。
 乗り継ぎ割引を適用するには新幹線と特急の乗車切符を同時に買う必要があり、一方でしか購入せずに事後に申し込んでも適用されません。
例)
 東京駅〜新大阪駅の新幹線自由席利用。正規の片道運賃は8510円。
 障害者割引を利用すると・・・4250円(a)
 新幹線自由席特急券・・・4730円(b)←障害者割引の適用はなし(指定席・グリーン席も同様)
 合計(a)+(b)・・・8980円

障害者割引を適用した新幹線運賃の検索が多いので別に設けましたコチラから
 バスの場合
 ここで言う「バス」とは「高速バス」「路線バス」「夜行バス」など、種類にかかわらず共通で「バス」と言います。ただし、観光バスや旅行会社が独自に手配したバス(格安バス・ツアーバス・スキーバスなど)特殊なバスは基本的に含まれまない、つまり一般乗客と同じ正規料金ということになります。

 バスは手帳においては「第1種」の障害者には介護人とともに、「第2種」の障害者には本人のみが5割引というルールは鉄道と同じですが、大きく違うのは距離にかかわらず一律5割引ということです。つまり路線バスで短くても次のバス停で降りても5割引ということになります。
 また、会社によっては「第2種」でも介護人とともに割り引かれることもあります。

 割引を適用されるためには路線バスのワンマンカーなど車内で料金を払う時には、手帳を提示しながら料金箱に運賃を入れます。高速バスなど前売りにて窓口で購入できる場合は手帳を提示して運賃を支払い、きっぷを受け取ります。

例)
 東京駅〜大阪駅の夜行バス「ドリーム大阪号」
 正規の片道運賃・・・8610円→障害者割引だと・・・4310円
 飛行機の場合
 従来はANA・JALなどの各グループ会社において、障害者割引に関しては「第1種」と「第2種」の一部という複雑な体系でしたが、2003年4月よりすべての障害者手帳交付者に対して割り引かれるようになりました。

 基本ルールは「第1種」には介護人とともに、「第2種」は本人のみとなります。割引率は一様ではなくて路線によって変化するため25%〜50%程度と幅広くあります。
 ただし、現状としては特割・バーゲンフェアなどがありますので、場合によっては障害者割引のほうが高額になります。

 割引を受けるには、インターネットにて予約を申し込んだ時にJALの場合は普通運賃で予約し、搭乗当日にカウンターにて手帳を提示して割り引いてもらいます。さらにチケットレス割引を受ける場合は、予約後に国内線予約センタ−に電話すると適用されます。ANAの場合も普通運賃にて予約し、搭乗当日にカウンターにて手帳を提示します。チケットレス割引を受けるには支払方法を選択後、運賃変更より運賃の変更と手帳番号の入力をします。
 2社共通して当日カウンターにて手帳を提示する必要があります。

例)
 羽田空港〜伊丹空港の飛行機。
 正規の片道片道・・・18800円
 障害者割引だと・・・11650円
 特割1だと・・・9300円(最安便)
 船舶の場合
 船舶とは「フェリー」や「高速船」などを意味します。広い意味で川下りや遊覧船なども船舶に含まれますが、これはどちらかというと観光船という意味合いが強いので、2点間の運送を目的としたこの割引制度では適用されていることは皆無に等しいでしょう。

 さて、船舶の場合も基本的には片道100km以上というルールがあります。しかし、事業者によっては100km未満であっても障害者割引が適用されたり、100km以上であっても適用されない可能性もあります。一般的に100km未満では適用されないのが通知にも定められています

 さらに複雑にすると、船舶には1等と2等というように利用船室によって料金が変わってきます。通知によると、「第2種」の単独利用でも割り引かれるのは2等運賃のみとなっています。この2等ですが、さらには2等指定席や2等寝台席という上等のランクもあり、これらの船席を利用するには2等運賃に上等ランクを利用するための料金が必要になります。この料金も含めて割り引かれるのか、または料金のみ割り引かれないのかは会社によって異なりますし、シーズンによっても異なるという非常に複雑な制度となっています。

 「第1種」は介護人と一緒に乗船すると全等級にて50%引きとなりますが、単独利用の場合は「第2種」と同じ扱いになる会社もあります。
 「第2種」は本人単独利用のみで2等が50%引きとなります。料金も割り引かれるかは会社によって異なります。

料金も含めて割り引かれる会社・・・
 太平洋フェリー、ダイヤモンドフェリー、阪九フェリー、名門大洋フェリー、関西汽船、新日本海フェリー
料金は割り引かれない会社・・・つまり2等運賃のみ50%引き
 宮崎カーフェリー、オーシャン東九フェリー

 なお、車については自家乗用車で20%くらいの割合で割り引かれます。こちらは会社によって適用されるかどうかも様々ですので事前に問い合わせてください。

 割引の適用を受けるには、カウンターにて手帳を提示します。あらかじめ旅行会社でクーポン券を購入している場合でも提示する必要があります。その際、会社によっては手続き用の書類を書かされる場合もありますが、名前と手帳の交付番号を記入する程度です。
 タクシーの場合
 全国の事業社において手帳提示で運賃が1割引となります。
 ただ、過酷な職業柄、運転手の入れ替わりが激しいようですので、障害者割引の知識があるのかどうかは不明ですが・・・
 その他の交通機関(覚え書き)
 立山黒部アルペンルートの場合・・・
 オフィシャルホームページよりオンラインチケット購入にて富山地方鉄道富山駅から長野県側の扇沢駅までを購入しました。単独利用でも全線を5割引で購入できます。不明点となる富山地方鉄道線ですが、これらも単独利用でも割り引いた上で購入できました。なお、オンラインチケットで購入し、郵送されてきたチケットは、富山地方鉄道線はそのままで改札を通れますが、立山ケーブル立山駅にてアルペンルート用のチケットに引き換えます。その際は障害者手帳を提示する必要があります。
 扇沢〜信濃大町の路線バスはオンラインチケットでは対象外ですが、一般路線バスと同様に乗車当日に手帳提示の上で割引を適用することができます。

 須磨浦公園ロープウェイの場合・・・
 身体障害者第1種、および知的障害者第1種は介護人同伴で半額になります。単独利用の場合は適用されません。
 障害者のみなさんへのお願い
 障害者割引を利用するのは構いませんが、『障害者だから』という理由をつけてさらなるサービスを求めることはやめていただきたく思います。このようなサービスを求めることは事業者の障害者に対するイメージが悪くなる恐れもあります。障害者とは言えども一般の乗客と同じサービスを受けるのが当然であって、事業者はそれをわずかに手助けする程度が普通です。VIPではないということを常に頭に入れておいてください。

 また、サポートの仕方が悪いということも、一般的に障害者の大変さを知ることは実際に経験してみないとわからないことはみなさんもご存知のはずです。ですが、この世界では障害者の人口よりも健常者の人口のほうが多いですし、一生涯障害者と触れ合ったことがないという人も非常に多く、それが偏見を生み出す要因となっていると思います。各交通機関の事業者も例外ではなく、障害者に接するのが初めてだとどのように対処すれば良いのかわからない人も多数います。交通バリアフリー法の施行によって、事業者の意識も徐々に浸透していく段階ですから、今後に期待しつつ、事業者自身の後学のために自分自身の障害を相手に練習させることにより、後に同様の障害を持った方には快い対応ができることでしょう。事業者のみがバリアフリーに動くのではなく、障害者自身も一緒に動いてこそ初めてバリアフリーは成り立つことでしょうから、みなさんも一緒に住みよい社会を築き上げていきませんか?もちろん、何度相手になっても改善が見られない場合は、会社に直接抗議するなり別の方法を取るほうが良い場合もあります。

 障害者割引を利用するのもしないのももちろん自由です。僕が利用を促進するのは、それなりの心理的な負担などが健常者と違って科せられているので構わないと思うからです。ただし、利用するのもしないのもそれだけのことですから、事業者にはこれ以上のことを要求するのではなくて、事業者の負担免除と引き換えに割引を受けているということを忘れないでください。

 以上のようにご協力をよろしくお願いいたします。






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