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明淡高速船メモリアル


明淡高速船の沿革
 明淡高速船の歴史は何と1922(大正11)年に設立された播淡聯絡汽船に遡る。つまり明石〜淡路の3航路の中では最古参である。播淡聯絡汽船ともうひとつの共同運航会社であった淡路連絡汽船は、前身には1956(昭和31)年の丸正汽船が淡路汽船に社名を変更し、さらに1960(昭和35)年に淡路連絡汽船に業務を譲渡したという激しい変動の歴史があった。40年以上、2社の共同運航であったが、明石海峡大橋架橋による影響が最も大きく(*注)、播淡聯絡汽船は、USJが開場された際には海上アクセスとして、岩屋〜USJ航路もあったが、JRとの競争に負けて撤退し、むしろ経営が悪化してしまった。2001(平成13)年4月1日に2社が合資して明淡高速船として再出発した。乗船料は410円に据え置かれていたが、2003(平成15)年4月10日より500円となった。

  なお、旧播淡聯絡汽船が「まりーんぶりっじ」と「まりーんふらわあ2」を、旧淡路連絡汽船が「シーワープ」をそれぞれ所有していた。共同運航時代は、窓口もきっぷも乗船場も全て共同で利用しており、多くの乗客は2社に分かれていたとは気づかなかったものと思われる。
 明石港側の待合室は2003年秋に改築され、市民トイレを併設したバリアフリー建築物となり、また、「子午線ライン」という愛称もつけられるようになった。

 そして2004年は大きな変動が起きた年である。3月18日には「レットスター1」と「レットスター2」が就航し、「まりーんぶりっじ」は韓国へ売却された。また、4月5日には定期料金と回数券の6%の値下げと5枚つづり回数券が発売されるようになった。しかし、2003年の利用客数が明石海峡大橋架橋の前年利用者(264万人)の36%減となる93万人となり、また、「レットスター」の就航にともなう小型化による窮屈感や揺れがかえって足を遠ざける要因になりつつあるので、有効な打開策が求められるが簡単に見つからないのが現状である。
 運航体制は「レットスター」の就航以来17時までのみ大型船と小型船の交互運航とし、17時以降は従来の大型船2隻の運航体制であったが、4月28日より終日交互運航となった。その結果「シーワープ」は売却され、さらに7月1日に「しわく1」が就航して「レットスター1」がわずか3ヶ月で引退し、同時に減便となるダイヤ改正も実施された。

 2005年9月1日からは「改革宣言」と題して、通勤定期を5%の値下げ、通学定期には何と25%の値下げを実施した。また、一般旅客に対しても50枚回数券(6ヶ月有効)を発売し、1枚あたり290円とかなり安くなった。今後も改革は続けるようであるが、個人的には大幅な値下げは原油価格が高騰している中では少し心配な面もある。10月27日にはスタンプカードを導入し、大人片道きっぷあたり2ポイント、計50ポイントで岩屋商店街、あるいは明淡商店街の提携店舗にて利用できる商品券500円と交換できる制度を導入した。
 また、平成15年からの定期券利用者750名のうち197名から回答されたアンケートにより、要望者がたった6名でありながら10月20日に「しわく1」にテレビを設置した(「レットスター2」にはスペース上不可能とのこと)など、どんなに小さな要望でも対応していこうという姿勢は素晴らしいと感じた。
 2005年12月26日から2006年3月31日までの間に「冬季ダイヤ」が導入された。朝夕の通勤通学ラッシュは従来どおりに20分に1本だが、昼間や夜間は40分に1本となっている。この期間中は「レットスター2」の運航はなく、「まりーんふらわあ2」と「しわく1」2隻の運航となっており、減便による待合乗客の増加と冬の荒波対策であると思われる。

 2006年4月27日の発表で「減り続ける利用者」と「高騰し続ける燃料油価格」の2つの影響から経営難は避けられないとし、5月28日を持って運航停止、1年後に航路廃止という最大の危機が訪れた。ただし、兵庫県・明石市・淡路市の3自治体が支援をしてくれるのであれば取り下げると言う条件であった。明石市はいち早く土日曜日に1日2便約40分のクルージング事業を提案するなど積極的に支援にまわった。最終的には5月19日の発表で今年12月末までの限定ながら航路の存続はなされるようになり、その後についてはまた話し合うとされている。
 この一連の廃止危機下、淡路市長は明淡高速船に関する会談のために明石市に訪れる際には往復で明石淡路フェリーを利用するなど、管理人としては憤るような言動をよく取っていた。淡路市長は市役所HPの日記から観光地として発展させたいと常々に言いながら、大事な動脈のひとつであるこの航路の大切さを認識していないところに首長としての人格に疑問を持ちたい。
 7月2日より明石市から提案があったクルージング事業が始まり、10月29日までの日祝日に1日2便運航されるようになった。新たな試みであったが、結果的にチャーター便を含めて期間中に7545人が乗船し、かなり好評であったと思われる。詳しくは明石市のHPにて(コチラ)。
 経営の苦しさを象徴させるかのように、2005年秋に始まったばかりのポイントカード制度は10月31日に中止となり、また、「明淡かんたん湯快なきっぷ」と「明淡かんたん花恋なきっぷ」が11月30日をもって中止となった。
 運航存続期限である年末が迫った11月。好調だったクルーズ事業を実施しても好転しなかったらしく、再度廃止ニュースが流れた。引継ぎ事業者を水面下で探し続けていた結果、11月19日には淡路ジェノバラインが名乗り上げ、11月30日に航路を引き継ぐことが正式に決まった。明淡高速船が保有している「まりーんふらわあ2」や桟橋施設を金銭で譲り受け、新たに新船を導入し、乗組員も雇用継続とのこと。運航本数減や運賃などの利用者負担増は一切なく、従来の運航体系を保ち続けるとのことである。これによって明淡高速船は会社としては清算し、播淡聯絡汽船時代以来80余年の歴史に幕を閉じることになった。


 明淡高速船を利用する最大の利点は、岩屋ポートターミナルから淡路島島内の大部分の路線バスが発着することである。しかし、最盛期に比べると本数の大幅減や路線の縮小、特急の廃止などの影響がある。これも高速舞子から淡路島の都会といえる、津名、洲本、福良へも、シャトルバスの拠点である高速舞子のほか、三ノ宮や大阪から直接高速バスが結ぶようになったからである。このおかげで淡路交通の収益はよくなったと思われる。その反面、赤字となる路線バスは切り捨てられることが多くなっているが、島民の高齢化に伴い路線バスの重要性はますます高くなってきているので、安易に減便(便数を減らす)、縮小(路線の部分廃止)、廃止(路線の完全廃止)はしないで頂きたいものである。


(*注)
 なぜならば、岩屋ポートターミナルから高速舞子〜岩屋ポートのシャトルバスが日中は約30分に1本の割合で頻発しており、用事が明石ではなくて神戸や大阪方面である利用者にとっては、乗り換え手間を考えると高速舞子の真下にある舞子駅の方がアクセス手段としては最適であるからと考えられる。徒歩時間はほとんど変わらないが、明石港の場合は、明石駅が見えず歩く距離も長い反面、高速舞子は駅は直下にあり、エスカレーターやエレベーターで移動も楽である容易さも高速バスが選ばれる大きな理由であろう。また、合計運賃差が190円もあるのもポイントである。高速船の最大の弱点として悪天候時の大きな揺れも、敬遠される1つの原因としても考えられる。

〜比較データ〜 岩屋から三ノ宮に行くとしての所要時間と運賃、ただしJRに関しては平等の為に快速を利用。

 明淡高速船を利用する・・・
高速船(500円、海上13分)〜明石駅へ徒歩で移動(約7分)〜JR(380円、21分)
結果・・・所要時間41分、880円

 高速バスを利用する・・・
高速バス(400円、13分)〜舞子駅へ徒歩で移動(約6分)〜JR(290円、19分)
結果・・・所要時間38分、690円
参考文献:播淡聯絡汽船『永き航路 播淡聯絡汽船株式会社75周年記念誌』1997年

乗船料
大人 500円
大人往復 900円
小人 250円
小人往復 450円
身体障害者・介助人 250円
回数券(5枚つづり) 2000円
回数券(11枚つづり) 4200円
回数券(23枚つづり) 8400円
回数券(50枚つづり) 14500円
自転車料金 200円
お得な乗船券 ※2006年11月30日をもって中止となりました
「明淡かんたん湯快(ゆかい)なきっぷ」
→往復乗船券+松帆の郷入浴券
大人(通常1700円) 1000円
小人(通常900円) 550円

「明淡かんたん湯快なきっぷ」
「明淡かんたん花恋(かれん)なきっぷ」
→往復乗船券+奇跡の星の植物園入館券
大人(通常1600円) 1000円
シルバー(65歳以上、通常1300円) 900円

 小人とは6才以上12才未満を指します。
 お得なきっぷはいずれもバス代は含まれていません
 岩屋〜松帆の浦・・・230円(片道)
 岩屋〜淡路夢舞台前・・・250円(片道)
 お得な乗船券は明石港の発売窓口及び、明石駅観光案内所、近畿・四国・中国地方のローソン、ファミリーマートで発売しています。
 明石港側では淡路島島内の連絡バスきっぷ、岩屋港側ではJRの連絡きっぷがそれぞれ購入できます。
ポイント制の配布点数

※2006年10月31日をもって中止となりました
通常切符 ポイント 押印所
片道・大人 2P 改札口
片道・小人 2P 改札口
片道・障害者 1P 改札口
往復(往路)・大人 2P 改札口
往復(往路)・小人 2P 改札口
往復(復路)・大人 2P 改札口
往復(復路)・小人 2P 改札口
回数券      
5枚綴り 2P 窓口
11枚綴り 4P 窓口
11枚綴り・小人 4P 窓口
23枚綴り 8P 窓口
50枚綴り 15P 窓口
定期券      
通勤・1ヶ月 15P 窓口
通勤・3ヶ月 42P 窓口
通勤・6ヶ月 79P 窓口
通学・1ヶ月 7P 窓口
通学・3ヶ月 20P 窓口
通学・6ヶ月 39P 窓口

 通常切符は改札時(改札後は無効)、回数券と定期券は窓口にて購入時に押印されます。
 合計50Pを貯めると大人用は500円、小人用は250円の商品券と交換され、明淡商店街、あるいは岩屋商店街の各提携店舗にて利用することが出来ます。
明石海峡クルーズ
実施期間:平成18年7月2日〜10月29日の日曜・休日
ダイヤ:午前便…10:25〜11:35、午後便…14:25〜15:35
運航経路:明石港〜大蔵海岸〜明石海峡大橋〜神戸空港沖〜明石港
料金:
大人…1000円、高・中学生…800円
小学生…500円、65歳以上…800円
障害者…500円、幼児…無料
※土曜日は午後便ダイヤでチャータークルーズもあります。(1船10万円)

月曜日〜土曜日時刻表(平日)
明石発 岩屋発
   5時 50
10   50 6時 30   50
10  30  50 7時 10  30  50
10   40 8時 10    40
10   40 9時 10   40
10   40「R」※ 10時 10「R」※   40
10   40「R」 11時 10「R」   40
10   40「R」 12時 10「R」   40
10   40「R」 13時 10「R」   40
10   40「R」 14時 10「R」   40
10   40「R」 15時 10「R」   40
0  20「R」  40 16時 0「R」  20  40「R」
0「R」  20  40「R」 17時 0  20「R」  40
0  20  40 18時 0  20  40
0  20  40 19時 0  20  40
0  20  40 20時 0  20  40
10   40 21時 10   40
10 22時   
※土曜日が祝日の場合は休日ダイヤ
平成16年7月1日ダイヤ改正
日曜日・祝日時刻表(休日)
明石発 岩屋発
   5時
40 6時 10  40
10  40 7時 10  40
10  40 8時 10  40
10  40 9時 10  40
10  40 10時 10  40
10  40 11時 10  40
10  40 12時 10  40
10  40 13時 10  40
10  40 14時 10  40
10  40 15時 10  40
10  40 16時 10  40
10  40 17時 10  40
10  40 18時 10  40
10  40 19時 10  40
10  40 20時 10  40
10  40 21時 10  40
10 22時   
平成16年7月1日ダイヤ改正
航海時間:約13分
・時刻表の「R」は「レットスター2」の就航便です。土曜日は11:10の岩屋発から「レットスター2」が就航します。
・「R」がない便は「まりーんふらわあ2」と「しわく1」が交互に就航予定です。
・配船の都合や天候によって入れ替わることもあります。

下表は平成17年12月27日〜平成18年3月31日の冬季ダイヤです

月曜日〜土曜日時刻表(冬季平日ダイヤ)
明石発 岩屋発
   5時   
20 6時 00    40
00   20   40 7時 00   20   40
00   20   40 8時 00   20   40
00   20   40 9時 00   20   40
00    20 10時 00    40
00    40 11時 20
20 12時 00    40
00    40 13時 20
20 14時 00    40
00    40 15時 20
20 16時 00    40
00   20   40 17時 00   20   40
00   20   40 18時 00   20   40
00   20   40 19時 00   20   40
00    20 20時 00    40
00    40 21時 20
   22時   
土曜日が祝日となる場合は休日ダイヤ
平成17年12月27日〜平成18年3月31日の冬季ダイヤ
日曜・祝祭日時刻表(冬季休日ダイヤ)
明石発 岩屋発
   5時   
20 6時 00    40
00    40 7時 20
20 8時 00    40
00    40 9時 20
20 10時 00    40
00    40 11時 20
20 12時 00    40
00    40 13時 20
20 14時 00    40
00    40 15時 20
20 16時 00    40
00    40 17時 20
20 18時 00    40
00    40 19時 20
20 20時 00    40
00    40 21時 20
   22時   
平成17年12月27日〜平成18年3月31日の冬季ダイヤ
冬季ダイヤ実施中は「レットスター2」の運航はなく、「まりーんふらわあ2」と「しわく1」の2隻のみでの運航になります

乗り場案内
明石側乗り場地図 岩屋側乗り場地図
岩屋側乗り場外観 岩屋側待合室 明石側待合室

乗り場の設備などの案内
明石港 JR・山陽明石駅より徒歩約7分。
トイレや自動販売機などの設備あり。島内バスの連絡きっぷも購入できる。
岩屋港 岩屋ポートターミナル内。
自動販売機、トイレの設備あり。飲食店もあり。早朝のみ新聞などの販売店が開店する。
JRの連絡きっぷも窓口で購入できる。ただし、朝夕のみ。


廃止当時の就航船
まりーんふらわあ2
レットスター2
冬季は運航なし
しわく1
引退船
シーワープ
まりーんぶりっじ レットスター1
各船名をクリックすると各船の詳細ページが開きます。


「明淡高速船」公式サイト(07年1月31日をもって閉鎖)




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